MSのレイヤー3スイッチングとルーティング
レイヤー3ルーティング機能は、ほとんどのCisco Merakiスイッチに備わっています。この機能を使用すると、スイッチがキャンパス ネットワーク内のVLAN間でトラフィックをルーティングでき、追加でレイヤー3デバイスを用意する必要がありません。
サポートされるモデル
MSスイッチでレイヤー3ルーティングを有効化および設定するには、レイヤー3対応のスイッチが必要です。
モデル | レイヤー3インターフェース | ルート | ルーテッド クライアント | 機能 |
MS210 | 16 | スタティック ルート数:16 | 4096 |
スタティック ルーティング DHCPリレー |
MS225 | 16 | スタティック ルート数:16 | 4096 | |
MS250 | 256 | 1024*(スタティック ルート数:256) | 4096 |
スタティック ルーティング OSPFv2 DHCPサーバー + リレー Warm Spare(VRRP) マルチキャスト ルーティング(PIM-SM) |
MS350 | 256 |
(スタティック ルート数:256) 16384*(MS350-24X、スタティック ルート数:256) |
96k 512k(MS350-24X) |
|
MS355 | 256 | 16384*(スタティック ルート数:256) | 68k | |
MS410 | 256 | 8192(スタティック ルート数:256) | 96k | |
MS425 | 256 | 16384*(スタティック ルート数:256) | 112k | |
MS450 | 256 | 16384*(スタティック ルート数:256) | 68k |
*ハードウェアのTCAMリソースが枯渇しないよう保護するため、一部のプラットフォームでは動的に(OSPF)学習されるルートの数に以下の上限が設けられています。
MS250:900
MS350、MS355、MS425、MS450:15,000
上限に達すると、ルートが無差別に拒否され、ルーティング動作にエラーが生じる場合があります。 この影響を最小限に抑えるため、デフォルト ルートは上限に影響されず、無条件に受け入れられます。
レイヤー3ルーティングを初期設定する
VLAN間のトラフィックをルーティングするには、ルーテッド インターフェースを設定する必要があります。スイッチ上でローカルにトラフィックをルーティングできるのは、ルーテッド インターフェースが設定されているVLANのみで、なおかつVLAN上のクライアント/デバイスが、スイッチのルーテッド インターフェースのIPアドレスをゲートウェイまたはネクスト ホップとして使用するように設定されている場合に限られます。
レイヤー3ルーティングを使用するには、Switch(スイッチ) > Monitor(監視) > Switches(スイッチ)を選択し、設定するスイッチをクリックして、スイッチの詳細ページに移動します。Status(ステータス) > L3 routing status(L3ルーティングのステータス)で、Configure layer 3 settings(レイヤー3の設定)をクリックします。
表示されたウィンドウで、最初のルーテッド インターフェースとデフォルト ルートを設定できます。まずアップリンクVLANを設定することをお勧めします。
- Interface name(インターフェース名):インターフェース/VLANのわかりやすい名前/説明
- Subnet(サブネット):このルーテッド インターフェースがオンになっているネットワークのCIDR表記(例:10.1.1.0/24)
- Interface IP(インターフェースIP):このスイッチが、このVLAN/サブネット上でレイヤー3ルーティングに使用するIPアドレス。スイッチの管理IPと同じにすることはできません。
- VLAN:このルーテッド インターフェースがオンになっているVLAN
- Multicast support(マルチキャスト サポート): VLAN間のマルチキャスト ルーティングが必要な場合は、マルチキャスト サポートを有効にします。
- Default gateway(デフォルト ゲートウェイ):直接接続されたサブネットに到達しない、またはスタティック ルートを経由しないトラフィックに対するネクスト ホップ。このIPアドレスが、ルーテッド インターフェースのあるサブネットに存在する必要があります。
- DHCP settings(DHCP 設定):このVLAN上のDHCPをスイッチが処理するか、またはサーバーに転送する必要がある場合は、該当する選択を行ってください。詳細については、DHCPサービスの設定に関する記事を参照してください。
- OSPF settings(OSPF設定): OSPFを使用して、このVLANを分散処理できます。 詳細については、MS OSPFの概要に関する記事を参照してください。
設定が完了したら、Save(保存)をクリックするか、または別のルーテッド インターフェースをすぐに設定する場合は、Save and add another(保存して他を追加)をクリックします。
追加のレイヤー3インターフェースを設定する
追加のVLANに対して追加のレイヤー3インターフェースを設定するには、以下の手順に従ってください。
- Switch(スイッチ) > Configure(設定) > Routing and DHCP(ルーティングとDHCP)に移動します。
- Add an interface(インターフェースの追加)をクリックします。
- このインターフェースを設定するスイッチを選択します。
- 前述の「レイヤー3ルーティングの初期設定」セクションの説明に従って、必要な設定の詳細情報を指定します。
- Save(保存)をクリックするか、または別のインターフェースを追加する場合は、Save and add another(保存して他を追加)をクリックします。
下記の例では、「Data」というVLANが、クライアント要求にリモートDHCPサーバーを使用するように設定されています。
作成したレイヤー3インターフェースまたはスタティック ルートは、Switch(スイッチ) > Configure(設定) > Layer 3 routing(レイヤー3ルーティング)に表示されます。
注:各スイッチには、VLANごとにL3インターフェースを1つだけ設定できます。
スタティック ルートを設定する
ネットワーク内でトラフィックをルーティングするには、スイッチによるルーティングが行われない、または設定済みのデフォルト ルートを使用しないサブネット用にスタティック ルートを設定する必要があります。たとえば、ネットワークの一部がルータの背後にある場合や、Cisco Merakiレイヤー3スイッチから別のレイヤー3スイッチのダウンストリームが設定されている場合などが考えられます。
新しいスタティック ルートを作成するには、以下の手順に従ってください。
- Switch(スイッチ) > Configure(設定) > Routing and DHCP(ルーティングとDHCP)に移動します。
- Add a static route(スタティック ルートを追加)をクリックします。
- 適用先となるスイッチを選択します。
- 以下の情報を指定します。
- Name(名前):スタティック ルートのわかりやすい名前/説明。
- Subnet(サブネット):このスタティック ルートの対象となるネットワークのCIDR表記(例:10.1.1.0/24)。
- Next hop IP(ネクスト ホップIP):このネットワークへのパスに沿った次のレイヤー3デバイスのIPアドレス。このアドレスが、ルーテッド インターフェースのあるサブネットに存在する必要があります。
- Save(保存)をクリックするか、または追加のスタティック ルートが必要な場合は、Save and add another(保存して他を追加)をクリックします。
既存のレイヤー3インターフェースまたはスタティック ルートを編集する
特定のスイッチで既存のレイヤー3インターフェースまたはスタティック ルートを変更するには、以下の手順に従ってください。
- Switch(スイッチ) > Configure(設定) > Routing and DHCP(ルーティングとDHCP)に移動します。
- 目的のインターフェースまたはルートをクリックします。
- 必要な変更を加えます。
- Save(保存)をクリックします。
レイヤー3インターフェースを別のスイッチに移動する
レイヤー3インターフェースを別のスイッチに移動するには、以下の手順に従ってください。
- Switch(スイッチ) > Configure(設定) > Routing and DHCP(ルーティングとDHCP)に移動します。
- 移動するレイヤー3インターフェースを選択します。
- Edit(編集) > Move...(移動)をクリックします。
- 移動先のスイッチまたはスイッチ スタックを選択し、Submit(送信)をクリックします。
レイヤー3インターフェースまたはスタティック ルートを削除する
レイヤー3インターフェースまたはスタティック ルートを削除するには、以下の手順に従ってください。
- Switch(スイッチ) > Configure(設定) > Routing and DHCP(ルーティングとDHCP)に移動します。
- 目的のインターフェースまたはルートをクリックします。
- Delete Interface/Route(インターフェース/ルートの削除)をクリックし、次にConfirm delete(削除の確定)をクリックします。
注:スイッチには、少なくとも1つのルーテッド インターフェースとデフォルト ルートが必要です。デフォルト ルートは手動では削除できません。
レイヤー3ルーティングを無効にする
レイヤー3ルーティングを無効にするには、設定済みのスタティック ルートとレイヤー3インターフェースを特定の順序で削除する必要があります。
- Switch(スイッチ) > Configure(設定) > Routing and DHCP(ルーティングとDHCP)に移動します。
- 目的のスイッチのデフォルト ルート以外のスタティック ルートをすべて削除します。
- 目的のスイッチ上で、デフォルト ルートのネクスト ホップIPが含まれているもの以外のレイヤー3インターフェースをすべて削除します。
- 最後のレイヤー3インターフェースを削除して、レイヤー3ルーティングを無効にします。
これらのステップを順序どおりに実行しないと、エラーが発生し、ルート/インターフェースを削除できなくなります。
L3ルーティング使用時のスイッチ管理アドレスに関する注記
管理IPは、レイヤー3のルーテッド インターフェースとはまったく別に扱われる、別のIPアドレスでなければなりません。管理IPは、ルーテッドVLANと非ルーテッドVLAN(管理用VLANがクライアント トラフィックから独立している場合など)のどちらにも設定できます。管理IPアドレスを使用してCisco Merakiクラウド コントローラと通信するトラフィックは、レイヤー3ルーティング設定を使用せずに、設定済みのデフォルト ゲートウェイを使用します。そのため、管理/LAN IPに入力したIPアドレス、VLAN、デフォルト ゲートウェイがインターネット接続を提供することが重要です。 管理インターフェースは、自身のL3インターフェースのゲートウェイを持つことができません。
スイッチ スタックの場合は、管理IPのサブネットが、設定済みのL3インターフェースのサブネットと重複しないようにしてください。管理IPとL3インターフェースでサブネットが重複すると、スタック メンバーの管理IPに対してPingまたは(SNMPによる)ポーリングを実行したときにパケット損失が生じる可能性があります。注:この制限事項は、MS390シリーズのスイッチには該当しません。