バンドステアリング
こちらのドキュメントは原文を 2022 年 8 月 16 日付けで翻訳したものです。
最新の情報は上記原文をご参照ください。
バンドステアリングとは
注: 最小ビットレートおよびバンド選択の設定は、より簡単に設定、管理ができるよう ワイヤレス > 設定 > 電波設定 > RF プロファイル に移動しました。
バンドステアリングとは、 5Ghz 帯で接続可能なクライアントを検知し、そのクライアントを 5Ghz 帯で接続するように誘導する機能です。この機能では 2.4 Ghz 帯のみをサポートするレガシークライアントはそのまま 2.4 Ghz 帯を利用でき、5Ghz 帯対応クライアントと自動で棲み分けるため、ユーザーの接続環境改善に役立ちます。
MR29.1 前のバンドステアリングの動作
ワイヤレスデバイスは、パッシブスキャンとアクティブスキャンの2種類のスキャン技術を使用します。ワイヤレスクライアントは、パッシブスキャンで各チャンネルを素早く走査し、周辺に存在するAPが送信するビーコンフレームを待ち受けます。アクティブスキャンでは、無線クライアントは各チャンネルでプローブ要求(Probe Request) を送信し、周辺に存在する AP からプローブ応答(Probe Response) を要求します。エンドユーザーが使用している端末上では、通常これらの技術で検知した利用可能な SSID のリストが表示されています。802.11 のアソシエーションプロセスの詳細は、こちらをご覧ください。
SSID でバンドステアリングを有効にすると、AP は対象 SSID の 2.4GHz におけるビーコンの送信を停止します。 パッシブスキャンに依存する 2.4GHz のみ対応のクライアントは、ビーコンでその SSID を「検知する」ことができないため、アクティブスキャンを行うか、SSID 名とセキュリティ設定(事前共有キーなど)を事前に構成していない限り、この SSID に接続できない可能性があります。
バンドステアリングが有効なときに AP が 2.4GHz 帯でプローブリ要求を受信した場合、過去 60 秒間に同じクライアントから 5GHz 帯での通信を受信していない場合のみ要求に応答します。 AP は、すべてのクライアントから送信されるすべてのプローブ要求、アソシエーション要求、および再アソシエーション要求をすべてチェックしています。APは、2.4GHzでプローブ応答を受信してから60秒以内に上記のいずれかのフレームを受信した場合、プローブ要求に対する応答を 5Ghz 帯でのみ送信します。この動作により、クライアントは 5GHz 帯に誘導されます(下図 1 参照)。
注:バンドステアリングは、AP とクライアント間の信号の強さに関係なく、機能しま す。AP は、2.4GHz 帯の信号がはるかに強い場合でも、クライアントを 5GHz 帯に誘導しようとします。
図 1. バンドステアリングの動作(図解)
ファームウェア MR29.1 以降のバンドステアリングの動作
MR29.1 以降ではバンドステアリングの動作に以下の改善を行いました。
- AP は、バンドステアリングが有効な SSID に対しても、常に 2.4GHz ビーコンで SSID をアドバタイズします。この動作により、クライアントは2.4GHz帯をパッシブスキャンによってSSIDを検知、接続できます。
- APは、2.4GHzの最初のプローブ要求への応答を保留しますが、60秒内に再度プローブ要求があった場合は後続のプローブ要求に応答します。
- AP は、クライアントが 802.11v に対応している場合、接続後も 2.4GHz から 5GHz へとアクティブに誘導しようとします。
MR 29.1 ファームウェア前のバンドステアリングの動作で説明したバンドステアリング技術は、AP がアソシエーション時にのみクライアントをバンドステアリングしようとするため、パッシブバンドステアリングと呼ばれています。MR 29.1 ファームウェアでは、新しいアクティブバンドステアリング技術が導入され、AP は 接続済みの 802.11v 対応クライアントを 2.4GHz 帯から 5GHz 帯にアクティブに誘導しようと試みます。
- APは、802.11vをサポートし、2.4GHz帯ですでに接続している 5GHz 対応の無線クライアントに対してアクティブステアリングを試みます。
- AP は、802.11v BSS Transition Management (BTM) リクエストを接続しようとするクライアントに送信することになります。
- AP は、アクティブおよびパッシブバンドステアリングの両方において、クライアントの誘導を 2 回試みます。2回とも誘導に失敗した場合、AP はこのクライアントを「persistent(永続的)」としてマークし、クライアントのセッションの間、誘導を試みないようにします。
- クライアントの802.11v 対応有無はクライアントから送信されるプローブ、アソシエーション、再アソシエーション要求を解析して AP が判断します。
バンドステアリングの動作比較
ファームウェアMR29 前後におけるバンドステアリングの動作の違いについて以下の表にまとめています。
動作 |
MR29.1 前 | MR29.1 以降 |
2.4 Ghz 帯でビーコンにSSID名を含めて送信する |
ビーコン内の SSID 名は常に空欄 |
SSID名を含めて常に送信する (SSID が非表示設定になっている場合を除く) |
2.4 Ghz 帯においてプローブ応答を保留する |
過去 60 秒以内に 5Ghz 帯でプローブ要求やアソシエーション要求がクライアントから送信されていた場合、プローブ応答を保留する |
過去 60 秒間に一度保留していない場合はプローブ応答を保留する |
バンドステアリングを有効にしたときの デフォルトの動作 |
すべてのクライアントに対して |
802.11v 対応クライアントにはアクティブステアリングを行う 非対応クライアントにはパッシブステアリングを行う |
802.11v クライアントの判断 |
プローブ要求のみで判断 |
プローブ要求、アソシエーション要求で判断 |
バンドステアリングの設定
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ワイヤレス > 設定列 > 電波設定 > RF プロファイル へ移動する
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すべての SSID に対してバンドステアリングを有効にしたい場合、バンド選択 で ”すべてのSSID” を選択する
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2.4Ghz 帯と 5Ghz 帯がともに有効(デュアルバンド動作)になっていることを確認する
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”バンドステアリングを有効にする" をクリックします。(いずれかのバンドが無効になっている場合、バンドステアリングのオプションは表示されないかグレーアウトされます。)
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特定の SSID にのみバンドステアリングを有効にする場合、バンド選択で ”SSIDごと” を選択する。
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2.4 Ghz 帯、5Ghz 帯とバンドステアリングにチェックをいれる。注: どちらかにチェックがない場合バンドステアリングオプションはグレーアウトされます。
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ページ最下部にある”変更を保存”をクリックする
注: バンドステアリングを使用せずにデュアルバンドで動作させる場合は、バンドステアリングのチェックを外してください。