Meraki ヘルス - MR アクセスポイント
このドキュメントは原文を 2025年08月29日付けで翻訳したものです。
最新の情報は原文をご確認ください。
概要
Meraki ヘルス は、各クライアントやアクセスポイントから見た無線 LAN への接続状況を可視化し、ワイヤレス管理者がクライアントや AP の問題を詳細まで分析できるようにするためのツール群と分析機能です。この記事では、アクセスポイントの視点からの統計情報を提供する以下の Meraki ヘルス コンポーネントについて説明します。
- AP サマリー タブ
- AP デバイス ヘルス タブ
- AP パフォーマンス タブ
- AP オンボーディングおよびパフォーマンス メトリクス
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- ワイヤレス クライアント接続性のトラブルシューティング
- ワイヤレス クライアント性能のトラブルシューティング
- ワイヤレス ネットワーク接続性のトラブルシューティング
- ワイヤレス ネットワーク性能の評価
Meraki ヘルス の詳細は以下ドキュメントをご参照ください:
- Meraki ヘルス クライアント詳細 - 特定のクライアント視点での Meraki ヘルス コンポーネント
- Meraki ヘルス 概要 - サービス群としての Meraki ヘルス
AP ヘルス
無線ネットワークの管理や監視は常に難易度が高いものです。RF が健全かどうかをどのように判断するか、無線の状態や AP 全体の状態を簡単に可視化できるか、という課題があります。
無線ステータス
ファームウェアMR 32 以前のコードでは、無線の状態を一目で把握するのがやや難しい状況でした。
アクセスポイント一覧んページでは、たとえ無線の Tx がオフに設定されていても、ステータスアイコンは緑色で表示されます。
MR31 以前

MR32 以降
ファームウェアMR 32 以降では、各無線の状態をより簡単に把握できるようになりました。無線のステータスアイコンにより状態を区別できるようになっています。
![]()
- Up - 無線が稼働中、正常動作
- Down - 無線がダウン、インターフェース障害
- Off (auto) - AI-RRM により無線がオフ
- Off (admin) - 管理者により無線がオフ
- Unable to fetch - 無線ステータスの取得不可
無線ステータス「休止中」は Down と同じアイコンが使用されます。

AP サマリー タブ
ワイヤレス > 監視 > アクセスポイントのリストから AP を選択すると AP サマリー タブが表示されます。AP 単位の情報が取得され、AP サマリーページに無線ヘルスのメトリクスが表示されます。以下のグラフは、任意の無線ネットワーク上の AP において有効になります。

このウィジェットをクリックすると、その AP のイベントログページに移動し、該当 AP でクライアントが遭遇した問題がすべて表示されます。

デバイス ヘルス
ワイヤレス > 監視 > アクセスポイントの下にある デバイスヘルス タブでは、アクセスポイントの性能と安定性を評価するための主要なメトリクスを包括的に表示します。この機能は、AP コントロール プレーンに関連する問題の特定と診断に不可欠です。

システムリソース
システムリソースコンポーネントでは、AP の CPU 負荷とメモリ使用率の履歴を表示します。これらにより、CPU の過負荷、メモリリーク、AP とクラウド間および AP とネットワーク間接続の中断などによる問題を事前にトラブルシュート可能です。CPU とメモリは以下の 3 段階で分類されます:
0 - 75% : 良好
76 - 85% : 普通
86% 以上 : 不良

システム ステータス
システムステータスコンポーネントは、AP の現在の消費電力と有線ポート経由で接続されている PoE ソースをリアルタイムで表示します。これにより、電源関連の性能問題を迅速に診断できます。リアルタイム電力消費は、対応していない AP タイプでは表示されません。

電源モードステータスは、過去 24 時間の AP の電源動作履歴を表示し、想定される動作に影響を与える低規格モードで動作していないか確認できます。
注: 「消費電力(AP)」にワット数ではなく「利用可能な AP のデータからは電力消費はありませんでした」と表示される場合、AP がリアルタイム電力消費機能をサポートしていない可能性があります。その場合でも、AP が接続されているスイッチポート(PoE)のページから電源を監視できます。制限が AP 側にあるか確認するためには Meraki サポートにお問い合わせください。

AP リセット
AP リセットグラフは、過去 24 時間の AP 動作履歴を追跡します。計画的または予期せぬリセットが発生すると、そのイベントがタイムラインに記録され、ネットワークの不安定さの傾向を確認できます。

注: 現在の実装では、AP のリセットとダッシュボードでのダウンタイムは区別されません。
AP 接続タブ
ワイヤレス > 監視 > アクセスポイント> 選択した AP のステータス詳細ページ 内にある AP 接続タブでは、単一クライアントではなく AP 全体を通過するすべての接続を集約して表示します。接続統計は期間(最大 1 ヶ月分)、SSID、または両方でフィルタリング可能です。
全体の接続統計
全体の接続統計には、SSID、周波数帯、または期間フィルタに基づき、問題が発生した接続の総数が表示されます。

SSID 別および問題のある AP
全体の接続統計テーブルの下には、AP に接続して問題を経験した SSID とクライアントの一覧が表示されます。接続ステップに基づいてフィルタリングできます:
- アソシエーション
- 認証
- DHCP
- DNS
- すべての失敗ステップ
不具合発生接続試行ステップ
接続時の各ステップにおけるクライアント失敗を集計して表示し、各失敗ステージを全体に対する割合で分類します。これにより、特定の AP に接続してトラフィックを送信する際に複数のクライアントがどの段階で問題を抱えているかを可視化できます。数値をクリックすると、対応するフィルタが適用された失敗理由テーブルに移動し、同じ失敗を経験しているクライアント数が表示されます。
例
下の図では、AP を経由したクライアント接続のうち 78.4% が正常接続、1.2% がアソシエーション失敗、9.1% が認証失敗、11.3% が DHCP 失敗となっています。数値はすべてアクティブボタンで、クリックすると該当するフィルタが適用されたイベントログタブに移動します。

「9.1% fail to auth」をクリックすると、認証失敗でフィルタされたイベントログタブに移動します。さらに時間、クライアント、SSID、失敗ステップで絞り込みが可能です。

AP パフォーマンス タブ
ワイヤレス > 監視 > アクセスポイントの一覧からアクセスポイントを選択すると、パフォーマンスタブにアクセスできます。このタブでは、AP に接続しているワイヤレスクライアントとのやり取りにおける AP の性能を様々なメトリックで表示します。ダッシュボードには複数のパラメータがグラフィカル形式で表示され、理解しやすくなっています。画面上部には時間選択のドロップダウンがあり、選択した期間に応じてグラフが変化します。また、ネットワーク管理者は特定の SSID やバンドを選択して、すべてのパフォーマンスグラフを監視できます。
注: AP パフォーマンスタブと ワイヤレスヘルス タブは、同じ期間・同じ情報源からデータを取得しますが、パフォーマンスタブは処理パケット総量の変化を捉えることができないため、両タブ間で不一致が発生する可能性があります。

これらのグラフには、X 軸下に接続イベントバーが追加されています。紫色のボックスは、RF 設定変更、DFS イベントなど、無線性能に影響する可能性のあるイベントを表し、濃淡がイベントの強度を示します。


帯域使用量グラフ
帯域使用量グラフは、AP が時間経過とともに転送した無線データ量を表示します。グラフには AutoRF 情報が重ねられ、自動送信(TX)出力や自動チャネル変更が時系列で確認できます。
グラフにマウスオーバーすると、特定の時刻における実際の使用量が表示されます。

注: Y 軸の最大値はスケーリング目的であり、ピークにマウスオーバーすることで実際の利用値を確認できます。
クライアント
クライアントグラフは、選択期間における AP に接続中のアクティブなワイヤレスクライアント数を表示します。単一 AP に多数のクライアントが集中すると、性能低下やチャネル利用率の上昇を引き起こす可能性があります。グラフには AutoRF イベントが重ねて表示されます。紫色のバー部分にマウスオーバーすると、その時刻のクライアント数と発生した AutoRF 変更を確認できます。

注: Y 軸最大値は視覚的表現のみです。ピークにマウスオーバーすると実際の最大クライアント数が表示されます。
平均信号品質
平均信号品質グラフは、RSSI 値または SNR 値を選択でき、選択内容に応じてグラフが変化します。指定時刻に AP に接続中のクライアントの RSSI または SNR を平均し、グラフに表示します。特定エリアでの無線問題のトラブルシューティングにおいて、このグラフで時間経過ごとの信号品質低下を確認できます。グラフには紫色の AutoRF イベントバーが重ねられ、全クライアントの信号品質が低下すると色が変化します。

平均無線遅延
平均無線遅延グラフは、選択された AP に接続中の各クライアントの無線遅延を計測し、その時刻における平均値を表示します。これにより、AP に接続している全クライアントの遅延状況を把握できます。グラフにマウスオーバーすると、その時刻の最大遅延値が表示されます。また、ダッシュボードでは時間経過ごとの遅いクライアント一覧を作成でき、それをタブから選択可能です。グラフには AutoRF イベントと遅延状況に応じた色分けがあり、Wi-Fi 利用時に遅延が発生している特定クライアントの特定に役立ちます。

注: Y 軸最大値はスケーリング目的であり、ピークにマウスオーバーすると実際の平均無線遅延値が表示されます。
チャネル使用率
チャネル使用率グラフは、同一チャネルを利用しているクライアントによる使用割合(%)を表示します。セレクタで 802.11 トラフィックか干渉(非 802.11)かを切り替え可能です。チャネル利用率が上昇すると、クライアントは遅延やスループット低下を経験する場合があります。マウスオーバーで特定時刻の利用率が表示され、さらに AutoRF 情報が重ねて表示されます。これにより、チャネル変更がクライアント性能改善につながったかを可視化できます。

データレート
データレートグラフでは、選択期間における AP 接続クライアント全体の平均データレートを表示します。アップロード、ダウンロード、平均レートを切り替え可能です。マウスオーバーで特定時刻の値を確認できます。

注: Y 軸最大値はスケーリング用であり、選択期間の最大データレート値ではありません。ピークにマウスオーバーすると実際の最大データレートが表示されます。
AP タイムライン
AP タイムラインは、ネットワーク内の AP レベルでの問題を可視化するために使用されます。ダッシュボード管理者は、問題のある AP を確認し、その AP に接続しようとして失敗したクライアントのログを確認できます。表示されるログはクライアント履歴タブに類似していますが、AP 単位で集計されています。この情報は、ダッシュボードの AP 一覧ページから各 AP ごとに確認でき、管理者が AP レベルで特定の問題を調査することが可能です。

注: AP タイムラインは、ファームウェア バージョン 27.5 以上を実行しているネットワークでのみ利用可能です。古いファームウェアを実行しているネットワークでは、AP ページ上のイベントログタブが引き続き使用されます。
AP のオンボーディングおよびパフォーマンス メトリクス
ダッシュボードはネットワーク内の各無線クライアントデバイスのパフォーマンスを監視・記録しており、それぞれの AP におけるオンボーディングとパフォーマンスの失敗を自動的に収集します。オンボーディング メトリクスは、ワイヤレス > 監視 > アクセスポイントの一覧で確認できます。AP のオンボーディング スコアは、その AP を通じて無線クライアントが無線ネットワークにどれだけ安定して接続できるかを示します。表示されるパーセンテージは、過去 2 時間で試行された全接続のうち、トラフィック送信が可能だった成功接続の割合です。以下のスクリーンショットでは、特定の時間内に一部クライアントが特定の AP への接続に失敗していることが確認できます。

オンボーディング メトリクスと同様に、ダッシュボードはパフォーマンス メトリクスも収集します。AP のパフォーマンス スコアは、過去 2 時間における無線接続品質を評価します。表示されるパーセンテージは、接続時間全体に対する良好な SNR の割合を示し、SNR が 25dB を超える場合は「良好」、15dB 以下では「不良」となります。SNR が 16dB 未満に低下すると、ダッシュボードはその AP のパフォーマンススコアを下げます。
オンボーディングとパフォーマンスのメトリクスは直近2時間を基に算出されます。ドロップダウンメニューで異なる期間を選択しても、この計算期間は変わりません。
過去 2 時間以内に十分なデータがない場合や、有線クライアントの場合、オンボーディング / パフォーマンス列には「N/A」が表示されます。これは、ネットワークに接続されていてもトラフィックを送信していないクライアントや、MR27.5 以上のファームウェアを実行できない AP に接続されている場合も含まれます。
また、特定クライアントが過去 2 時間以内に接続アクティビティを持たない場合も、オンボーディング列に「N/A」が表示されます。
AP フレックス テーブル
AP リストページのフレックス テーブルは、ネットワーク管理者がネットワークに参加している AP の各種パフォーマンスや使用状況のメトリクス表示をカスタマイズできる機能です。
AP リストテーブル右上の歯車アイコンをクリックすると、ノードの稼働状況やパフォーマンスステータスに関する様々なカテゴリから、必要なテレメトリデータを選択して表示設定を変更できます。

フレックス テーブルでは、モデル、シリアル番号、稼働状態、ファームウェア バージョン、アラート、ダッシュボード接続状況、クライアント接続数、データ使用量、無線設定、デバイス稼働時間といった列を表示でき、ネットワーク監視を柔軟に行うことが可能です。

